【半導体不足の解消】半導体バブル崩壊における製造業のチャンス
コロナウイルス蔓延やアメリカと中国の貿易摩擦、ビットコインや仮想通貨のマイニング需要増加によって、半導体は長い期間不足していていました。
弊社でも『1つの部材が足りず、その為製品が完成しない』といった状況が続いていました。
しかし、その半導体バブルが2023年から2024年前半に崩壊すると言われています。
半導体バブルが崩壊すると言われている理由と崩壊後に製造業者が取るべき対応について記事にまとめました。
少しでも参考になればと思います。
目次
そもそも半導体バブルってなに?
半導体バブルとは、半導体の急激な需要増加により、価格が上昇し、市場の健全な成長や需要予測を超える状況のことです。
要するに、需要量に対して、供給が圧倒的に足りず、価格が釣り上がっている状態です。
近年、半導体の需要が急増しましたが、生産能力が追いつかないため、供給不足が発生しました。
今の時代、スマートフォン、テレビ、パソコン、洗濯機、冷蔵庫など日常生活に半導体は欠かせなくなっており、半導体バブルの影響は計り知れません。
半導体バブルは一時的な現象で、市場の調整や生産拡大によって解消されることが予想されています。しかし、需要の持続的な増加や供給が追いつかない状況が続くと、バブルは持続する可能性もあるため、長引く場合には注意が必要です。
半導体不足に陥った原因
2021年から起こった半導体不足には、主に3つの原因があります。それぞれの原因について深く解説していきます。
新型コロナウイルスの感染拡大
1つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大です。
新型コロナウイルスは、2019年12月に中国で感染者が報告されてから、瞬く間に世界中に広がりました。
世界ではロックダウンをしていた国があったり、日本でも緊急事態宣言により、不要不急の外出が制限されたりしました。
コロナウイルスにより生活様式が一変し、予想よりも半導体を使っている製品の需要が高まってしまい、起こったのが半導体不足です。
具体的には、仕事がリモートワークになり、リモートワークに必要なパソコンの需要の増加が挙げられます。
アメリカと中国の貿易摩擦
2つ目は、アメリカと中国の貿易摩擦の影響です。
2018年に当時のアメリカの大統領トランプ氏が「中国製品に25%の関税率を適用すること」を決定しました。理由は、貿易赤字の削減や知的財産権の侵害の問題などと言われています。それを受けた中国側も報復措置を取り、関税を引き上げました。
当時、アメリカは中国から多くの半導体を輸入していましたが、関税の引き上げにより中国からの輸入をやめ、減少した分を台湾企業に受注しました。
しかし、台湾の企業では受注に対応しきれず、現在の半導体不足が引き起こされています。
新しい需要の出現
3つ目は、新しい需要の出現です。
具体的には、ビットコインのマイニング需要や企業のDX需要の出現と増加です。
ビットコインや仮想通貨のマイニングには、高性能な半導体のチップが必要になります。近年、仮想通貨の人気が高まり、新たなマイニング業者も増えてきています。そのため、マイニングのために半導体がますます必要になってくるでしょう。
2018年に経済産業省が「DXを推進するためのガイドライン」を取りまとめたことから、日本企業のDX化が進んでいます。近年、流行しているChatGPTをはじめとする人工知能を開発するためには、半導体が欠かせません。企業のDXがより推進する上で、高性能な半導体製品の需要が高まると予想されています。
もっと詳しく知りたい方は、別の記事にて解説していますので、参考にしてください。
>>>2023年最新 半導体が足りなくなった7つの理由!先も見通せない危機的状況は、まだ序章…
半導体バブルがはじける理由
半導体の需要が増加し、価格が高騰した半導体バブルがはじける理由は2つあります。
それぞれ詳しく解説していきます。
安定供給ができるようになったから
1つ目は、半導体を安定供給できるようになったからです。
安定供給ができるようになった背景には、「世界中のメーカーが生産効率を上げる体制づくりを整えたこと」と「メーカーが半導体の増産体制に向かっていること」があげられます。インテルは、2兆円をかけて、新しい工場を建設しています。台湾のTSMCやサムスンも半導体の増産のために積極的に設備投資を行っているようです。
それぞれ半導体メーカーの増産体制が整えば、半導体が安定供給されるまで秒読みといったところでしょう。
コロナウイルスが収束に向かっているから
2つ目は、コロナウイルスが収束に向かっているからです。
2023年5月8日に日本では、新型コロナウイルスが「5類感染症」となり、外出制限やマスクの着用などがなくなりました。仕事がリモートワークではなくなり、オフィスに出社する必要も出てくると考えられます。
オフィスに出社することでリモートワークで必要になっていたパソコンの需要が減少するでしょう。実際に2022年の国内パソコンの出荷は過去2番目に低い水準となっています。
この傾向は今後も継続すると予想できます。
製造業者は受注減少に備えよう
半導体の需要が落ち、世界的な半導体メーカーのインテルやサムスンが半導体の増産体制に向かっている今、半導体が安定供給されるまでもうすぐだと予想できます。
今まで半導体の製造で工場の稼働率が100%を超えていた工場が多かったですが、これからは半導体の受注が減少することになります。
半導体の需要と供給のバランスが崩れることは、今後も発生すると断言できますが、いつ起きるのかは分かりません。
いつ起きるか分からない半導体バブルを待ち続けるのは、とても危険です。
工場の経営を半導体の製造だけに頼っていると、バブルがはじけた時に倒産する可能性もあります。
倒産しないために、中小企業経営で行うべきことを記事でまとめたので参考にしてください。
>>>2023年最新 半導体バブルは終焉。製造業に、深刻な受注減が襲い掛かる
半導体の安定供給によるチャンス
半導体の安定供給により、半導体の受注の減少が予想されますが、弊社は製造業にとってチャンスなのではないかと考えています。
なぜなら、これまで半導体の受注に対応するために使っていたリソースを他の部分に使えるからです。
この機会に半導体の製造以外の別の事業に挑戦し、しっかり事業化できれば、半導体に依存しない会社経営が可能になります。
さらに挑戦した事業が大きくなれば、会社を大きくすることもできるでしょう。半導体の安定供給で空いたリソースをどこに投入するかが経営者の腕になります。
弊社も一層気を引き締めて、頑張っていきたいと思っています。
まとめ
この記事では、半導体バブルの言葉の意味、半導体バブルが発生した理由、崩壊する理由、今度製造業者が取るべき行動を詳しく解説しました。
この記事のポイントを整理すると以下のようになります。
- 半導体バブルは、急激な半導体の需要増加や供給量の減少により、需要と供給のバランスが崩れることで生じる現象。
- パソコンの需要減少やメーカーの増産体制により、半導体バブルが崩壊するまでは秒読み。
- 製造業者は、受注の減少を見据え、対応策を講じておく必要がある。
- 半導体の安定供給は、製造業にとってピンチでもありチャンスでもある。活かせるかどうかは企業次第。
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
中小製造業の経営者でしか知りえないリアルな情報を発信
【主な経歴】リクルート出身。数々の個人賞を受賞し、GMを歴任
【御津電子での実績】苦しい工場経営を1年でV字回復。技術力と人材育成を通じて、日本を代表する企業を目指している
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