2021/5/20更新
世界の建築業界に激震が走っています。突如として登場したウッドショック。
世界的にウッドの価格が高騰。木造建築の工事がストップ、住宅価格が約1.5倍に高騰など、非常に厳しい状況なりつつあります。
木材の高騰は、日本の建築業界に大きなインパクトを与え、製造業への大きな影響を与える可能性があります。
弊社が持っている情報を共有しますので、参考にして頂ければ幸いです。
目次
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ウッドショックとは
世界的に木材価格が急騰し、木材先物価格は、昨年4月(264ドル/1000ボードフィート)から上昇傾向になり、2021年5月17日時点で、1327ドルになっています。たった1年余りで5倍の価格高騰になり、末端でも2割近い値上げ状態が続いています。
日本は約6割の木材は輸入に頼っている現状で、建材では約半分を占めている為、建築業界に大きな影響を及ぼし始めています。
結果的に、住宅が計画通りに建設できない事や、住宅価格が1.5倍に跳ね上がるというケースが発生しています。
ウッドショックの原因
そんなウッドショックの原因は、4つが挙げれられます。その結果、世界中で木材の争奪合戦が始まり、木材が手に入らない、かつ高騰している状況が始まっています。状況は悪化の一途をたどっています。
コンテナ不足によるタイトな物流事情
新型コロナウィルスの影響で世界的に貨物船の減便が行われていた中で、各国が急速な景気拡大を予測して材料確保に走りました。
部材が入っても14日間隔離させる事や、港の人員不足も加わり、結果として世界的にコンテナが不足するとういう事態に陥っています。半導体・プラスチック等、どの業界においても材料不足になっています。
200兆円超の米国の財政支出資金が木材市場へ
新型コロナウィルスの景気対策案として、約200兆円の財政支出が決定しました。
それは結果としてお金余り状態を生み出し、株式・投資信託はもちろん様々な市場にお金が投入されました。木材市場も同様で、大量のお金が流れ込み、木材の価格が高騰しました。
プラスチック樹脂も同様で、現在原料が値上がり状態が続いています。
リモートワークの普及で、住宅購入やリフォームが増加
新型コロナウィルスでリモートワークが急速に拡大しました。会社の近くに住む意味がなくなり、郊外の土地での新築やリフォーム案件が増加。それは結果として、木材の不足を招いています。
新型コロナ後の需要の急拡大
アメリカ・イギリス・中国は、新型コロナとの戦いは終息し、急速な需要の拡大が始まっています。200兆円を超える財政支出も加わって、経済も急速に回復しています。新型コロナの終息は景気の拡大を意味しており、今後より需要が拡大していくと思われます。
建築業界からの注文状況
現在の注文状況:減少傾向
今後の注文状況:減少傾向
現状4月に注文の減少が見られ、少し影響が出始めているように思います。注文から完成までの期間が長い住宅業界だからこそ、製造業に影響が出始めるまで3ヵ月程度かかると予測しています。
注文状況を注視し、お客様からの情報を集めて、今後の動向を見守っていきたいと思います。
製造業への影響
住宅・不動産業界への影響は『住宅建築コストの向上』『工事着工の遅延』『消費者の購買意欲低下』『生産調整』『中古住宅の需要増加』が考えられます。
住宅は細かい部品を含めると数千部品あるといわれています。
住宅が計画通り建設できない、木造住宅の新規案件が落ち込むという事は、部品を作っている製造業にも影響が出ると考えられます。
注文から完成まで時間がかかる業界だからこそ、製造業への影響は2~3か月後に出始めると予測。また、需要と供給のバランスが戻るまでにも時間を要する為、深刻な事態に陥る可能性も出てきています。
具体的な影響は以下の4つであると予測しています。
建築に使われる製品の注文減少
建築に使用される製品の注文は間違いなく減少します。建築に使われる部材は約1000部材といわれており、その部材全てが注文減少に陥ると思われます。
生産調整
企業は生産調整に追われます。最悪の場合、工場の稼働を止める事も考えられ、建築関連の派遣人材が職を失う可能性も出ています。
リフォーム部材製品の注文増加
メリットデメリットがあるように、減るものがあれば増えるものもあります。リフォーム部材などは増加傾向にあると予測しています。
急速な需要拡幅による注文の増加
材料不足問題はいずれ解消され、コロナから経済が立ち直り、財政支出も加わると、必ずどこかのタイミングで需要が拡大していきます。
そのタイミングはわかりませんが、木材先物価格や新型コロナの終息状況など、幅広く情報を集めていく必要あります。
いずれにしても、ウッドの現状と注文状況を常に確認しながら、今後に備えていかなければなりません。
情報収集リソース
最後に
突如として現れたウッドショック。まだ製造業へは影響は出始めていませんが、これから多少なりとも影響が出始めると予測しています。
知り合いの建築業者の方と話す機会がありましたが、『住宅価格は1500万から2000万になった。また逆ザヤになる為工事をストップせざるを得ない状況で、大変な状況になっている』とおっしゃっていました。
新型コロナ後は、経済再開に向けてどの業界も在庫の確保を行ったり、多額の財政支出の資金が先物取引に回ったりと、経済は激しく動いています。
状況を注視し、情報を集め、いち早く企業戦略に反映させる必要があります。少しでも参考になれば幸いです。
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