2024年の製造業は、価格努力や海上コンテナ料金の推移など、様々な課題に直面しています。
世界経済の不透明感が強まる中、シリコンサイクルの到来により、製造業界はさらなる需要増加に備える必要があるのです。
日本では、アメリカ大統領選挙などのニュースが業界に影響を与える可能性があると言われています。その中で製造業者は在庫確保と万全な準備を行うことが求められるでしょう。
この記事では、2024年の海上コンテナやエンプラなどの市場動向と2024年に起こる製造業に関連したニュースを解説します。
また、製造業者が2024年に直面する課題と2024年に製造業者がやるべき対策も解説しています。
この記事を読むことで、2024年の製造業界の見通しが立てやすくなり、2024年に直面する課題を乗り越えるのが苦ではなくなるでしょう。
目次
2024年の各市場の動向
2024年の各市場の動向を解説します。
製造業界は様々な分野と関係があるため、幅広い市場の動向を知っておくことが大切です。
この記事では下記の市場動向を解説します。
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それぞれ詳しく解説します。
ドルの推移
製造業は多くの部品を海外から輸入し、製品を海外に輸出しているため、ドルの推移を把握することが大切です。
2024年5月7日のドル円レートは、1ドルあたり154.75円となっています。
1か月前の4月7日が151.70円だったので、1か月前と比べると若干の円安傾向です。
当面の間はこのまま推移するのではないかと予想されています。
しかし、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関である「連邦準備制度理事会」への利下げの期待と日本銀行の金融政策の修正予定を受け、2024年は円高になるのではないかとの予想もされています。
ユーロの推移
日本は機械類をユーロ圏にも輸出しているため、ユーロと円のレートも把握しておくほうが良いでしょう。
2024年5月7日のユーロ円レートは、1ユーロ166.35円です。
1か月前の4月7日のレートが、1ユーロ164.28円なので、若干の円安となっています。
2024年の動きを予想するためには、欧州中央銀行の金融政策に注目しなければなりません。
欧州中央銀行が利下げをするか利上げをするかでレートが変わってしまうため、製造業者は欧州中央銀行の動きに注目しておきましょう。
海上コンテナの料金
海上コンテナは部品や製品を運搬するときに使われる製造業者にとって、なくてはならないものです。
近年、燃料価格が上昇しているため、物流コストも高くなっていると考えられます。
2020年のコロナが流行った時期はパソコンやスマホの需要が一気に高まったため、海上コンテナの需要が増加し、料金が高くなりました。
しかし、海上コンテナの価格は、2021年をピークに現在は下降傾向です。
2024年も大きな変化がない限りは、このまま下降するか維持するのではないかと予想されます。
エンプラ市況の見通し
エンプラは強度と耐久性に優れているため、電子部品や自動車部品、医療器具などに使われることが多いです。
製造業者が扱う部品のなかにもエンプラは含まれているため、エンプラ市況の見通しは注視すべきものなのです。
株式会社グローバルインフォメーションがまとめた市場レポートによると、エンプラの世界市場は2030年には約18兆5,305億円に達すると予想されています。
しかし、2024年のエンプラ価格は横ばいか徐々に低下するのではないかと予想されています。
理由の1つは、中古製品市場が旺盛で新製品購入のニーズが低い状況が続いているからです。
汎用樹脂市況の見通し
汎用樹脂とは、安価で工業用品や生活用品などとして大量に使用・消費されるプラスチックのことを指しています。
汎用樹脂は値段が安く、加工もしやすいという特徴から工業用品や日用品など幅広い分野で活用されているのです。
2024年の汎用樹脂の市況は悪くなると予想されています。
北米を中心としてクリスマス需要はあるものの、中国域内の需要低迷の影響が大きいようです。
2024年に起こる製造業関連ニュース
2024年は製造業界にとって、大きな変化が起こる年かもしれません。
なぜなら、製造業に関連した大きなニュースがあるからです。
この記事では2024年に起こる製造業に関連したニュースを3つ解説します。
物流の2024年問題
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の規制が厳しくなり、労働時間が短くなるため「必要なものが運べなくなる」可能性が懸念されています。
2024年の規制厳格化により、輸送能力は14.2%減少すると言われているのです。
製造業者は部品を運んでもらったり、できあがった製品を持っていってもらったりする輸送手段にトラックを使うこともあると思いますが、早く運べなくなる可能性があるのです。
部品が早く到着しなければ、その分早めに注文をしたり在庫を多く抱えたりしなければならず、製造業者にとって管理コストが増加します。
シリコンサイクルの到来
製造業界に不可欠な部品の1つが半導体です。
半導体市場が好況と不況を3〜4年スパンで繰り返すことをシリコンサイクルと言います。
製造業界はシリコンサイクルの影響を大きく受けるため、シリコンサイクルの動きには敏感にならなければなりません。
そんな製造業界に多大な影響を及ぼすシリコンサイクルが2024年に到来すると考えられているのです。
2024年のシリコンサイクルによる半導体需要の急増について詳しく知りたい方はこちら
アメリカ大統領選挙
2024年11月5日にアメリカ大統領選挙が行われる予定です。
民主党からはバイデン氏、共和党からはトランプ氏がそれぞれ指名されることが決まっています。
日本の2021年の輸出割合で2番目に多い国がアメリカでした。アメリカには機械類や自動車、自動車部品など製造業に関係の深いものを輸出しています。
アメリカの大統領が変わるとなると、アメリカの輸入傾向も変わると考えられるため、製造業者にとってはアメリカ大統領選挙は注目すべき出来事なのです。
製造業者が2024年に直面する課題
製造業者が2024年に直面する課題は以下の2つです。
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それぞれ詳しく解説します。
価格競争が起こる
2024年、製造業者は価格競争に巻き込まれると予想されます。
なぜなら、いたるところでコストが上がっているからです。
現在、資源価格上昇の影響で物流コストが上がっています。資源価格上昇の影響による物流コストの上昇に加え、人件費の上昇による物流コストの上昇も考慮しなければならなくなりました。
コストが上がった分を製品価格に上乗せして販売することも可能ですが、海外産で安いものが多く出回っているため、製品価格を上げると売れなくなる可能性もあるでしょう。
このような価格競争に巻き込まれないためにも、自社独自の強みを見出し、製品価格を上げても他社に顧客を奪われないようにするのが大切です。
サプライチェーンの課題に直面する
物流の2024年問題により、2024年の輸送能力が14.2%減少すると考えられています。
さらに不足する営業用トラックの輸送トン数は4.0億トンも不足すると試算されているのです。
何も対策をしないままだと、製造業者は必要な時に必要なものが届かなかったり、製品の輸送自体を断られてしまったりする可能性があります。
トラックドライバーの時間外労働時間の規制は2024年4月から始まっているため、早急に手を打たなければ、こういったサプライチェーンの課題に直面するのは時間の問題かもしれません。
2024年は世界情勢がますます不透明になる
2024年は世界情勢がますます不透明になる年だと予想できます。
製造業界だけに焦点を当ててみても、シリコンサイクルの到来や物流の2024年問題によって、製造業者は在庫問題やサプライチェーンの問題に直面する可能性があります。
さらにアメリカ大統領選挙で大統領が変わり、日本とアメリカの貿易関係が変わってしまう可能性もあるのです。
また、世界では戦争や紛争も起こっており、2024年にも起こらないとは言い切れません。
このような世界情勢が不透明な時だからこそ、最悪の事態に備えて、万全の準備をする必要があるのです。
2024年に製造業者がやるべき対策
最後に2024年に製造業者がやるべき対策を3つ紹介します。
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それぞれ詳しく解説します。
情報を徹底的に集める
まず情報を徹底的に集めてください。
今の時代は、Googleで知りたいワードを打つだけで世界中のあらゆる情報にアクセスできます。
何を判断するにしても、情報は多ければ多いほどいいです。
日頃からたくさんの情報に触れることで、情報感度が高まります。
弊社のブログでは、製造業界のニュースを分かりやすく解説しているので、弊社のブログを読むだけでも多くの情報を集められるでしょう。
製造業界の見通しを立てる
色々な情報に触れ、製造業界の見通しを立ててみましょう。
製造業界の見通しを立てることは、とても難しいですが、絶対にすべきです。
見通しを立てるためには製造業界について徹底的に調べなければならず、自身の製造業界への理解が深まります。
さらに、より正確に見通しを立てようとすると、製造業界に関連した業界も検索することになるため知見が広がります。
製造業界への理解が深まったり、関連業界への知見が広がったりすることで、不測の事態が起きても対処しやすくなるのです。
在庫を確保しておく
ある程度十分な在庫を確保しておくことも大切です。
2024年にシリコンサイクルの到来が予想されていると解説しました。
シリコンサイクルが到来すると、半導体の需要は急増し、半導体不足になる可能性があります。
また、半導体の需要急増に伴い、半導体以外の部品の配送が遅延してしまうかもしれません。
半導体不足や部品の配送の遅延を考慮して、今のうちに少し多めに在庫を確保しておくのが良いでしょう。
まとめ
この記事では、2024年の海上コンテナやエンプラなどの市場の動向と2024年に起こる製造業に関連したニュース、製造業者が2024年に直面する課題と2024年に製造業者がやるべき対策を解説しました。
この記事のポイントを整理すると以下のようになります。
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2024年は製造業者にとって苦しい1年になるかもしれません。
しかし、この記事に書いてあるような準備をしっかりしておけば、不測の事態が起きても対処できるでしょう。