【2024年最新版】資源価格の上昇が製造業に与える影響


昨今、多くのものが値上がりしており、製造業者にとって大切な資源の価格も上昇し続けています。

 

資源価格の上昇は製造業者に大きな影響を及ぼすでしょう。

 

中小製造業者は資源価格が上昇し、自社の財政状態が非常事態に陥ってから対策を講じると資金繰りが困難になるため、より早期に資源価格の上昇の影響を受けないようにすることが重要です。

 

この記事では、近年資源価格が上昇している原因と資源価格の上昇が製造業にもたらす影響、製造業者が今すぐすべき対策を紹介します。

 

この記事を読むことで、資源価格の上昇により製造業者の資金繰りが厳しくなっている問題に対処できるかもしれません。

資源価格が上昇している原因

資源価格が上昇している原因は4つです。

  • 資源需要の急増
  • ウクライナ情勢の緊迫化
  • 化石エネルギーの上流投資の減少
  • 長引く円安

それぞれ詳しく説明します。

資源需要の急増

資源価格が上昇した原因として、資源需要が急増したことが考えられます。

 

2020年から蔓延していた新型コロナウイルスにより、経済活動は停滞気味でした。

 

しかし、2023年5月8日から日本で新型コロナウイルスは『5類感染症』に分類され、停滞していた経済活動が徐々に再開しました。

 

今では世界中で経済活動が回復傾向にあるため、エネルギー需要が急増しているのです。

 

経済活動が回復し、エネルギー需要の急増に資源の供給が間に合わなくなったため、資源価格が高騰しています。

ウクライナ情勢の緊迫化

ウクライナ情勢が不安定であることも資源価格が上昇している原因です。

 

2022年2月24日から始まったロシアによるウクライナ侵攻はいまだに続いています。

 

3月17日に行われたロシア大統領選挙でプーチン大統領が再選したことから、これからもウクライナ侵攻は続くと予想できるでしょう。

 

アメリカやイギリス、EUなどはウクライナ侵攻をやめないロシアに経済制裁として、ロシアからの天然資源の輸入規制を行いました。

 

しかし、ロシアは天然ガスの埋蔵量で世界2位、石炭で3位、石油では6位を占めるほどの資源大国であったため、経済制裁として輸入規制を行ったことで急激に資源供給量が足りなくなったのです。

 

今後もウクライナ侵攻が続く限り、ロシアに対する経済制裁は継続すると考えられるため、資源供給量は不足状態が続くでしょう。

化石エネルギーの上流投資の減少

2015年のパリ協定をきっかけに化石エネルギーに対する政策や需要動向が不透明になったことも資源価格が上昇している原因です。

 

化石エネルギーに対する政策や需要動向が不透明になったことで、ガス田や油田などの上流部門への投資額が大幅に減少しているのです。

出典元:資源エネルギー庁

新規油・ガス田の上流投資額を2015年と2022年で比較してみると、2022年は2015年の約半分になっていることが分かります。

 

脱炭素化の流れから、化石エネルギーの上流投資は今後も減少すると予想できます。

長引く円安

長引く円安も日本での資源価格が上昇している原因でしょう。

 

円安の状態では、海外から物を輸入するときにこれまで以上に高いお金を払わないといけません。

 

日本円とドルのレートは、2023年3月21日に1ドル=132.25円だったのが、2024年3月21日には1ドル=150.87円となっています。

 

円安が進めば輸出には有利なので海外展開している事業者にとってはプラスの影響もあるかもしれませんが、資源価格だけで見ればマイナスな影響であることは間違いありません。

資源価格の上昇が製造業に与える影響

資源価格の上昇が製造業に与える影響は3つです。

  • 原材料価格が上昇する
  • 利益が減少する
  • 競争力が低下する

それぞれ詳しく説明します。

原材料価格が上昇する

資源価格の上昇は、原材料価格の上昇に直結します。

 

資源価格が上昇することにより原材料の運搬コストが上がり、原材料価格に運搬コストが上乗せされるため、原材料価格が上昇するのです。

 

製造業に使用される原材料は日本で調達することが困難なものもあり、海外から輸入する場合もあるため、資源価格の上昇により原材料価格が上昇しやすいのです。

利益が減少する

資源価格が上昇し、原材料価格が上昇すると自社の利益が減ってしまいます。

 

原材料価格の上昇分を自社製品の値上げで対応すれば、利益が減ることはありません。

 

しかし、製品価格を上げてしまうと他の製造業者のほうが安くなり、受注が減ってしまう可能性があります。

 

受注が減少するほうが経営に悪影響を及ぼすので、少し利益が減るぐらいであれば製品価格を据え置いて、取引を続けるほうが良いケースもあるでしょう。

競争力が低下する

実は資源価格の上昇は競争力の低下にも繋がります。

 

上記で資源価格の上昇が原材料価格の上昇に繋がることを説明しました。

 

原材料価格が上昇することにより利益確保ができない場合は、製造業者は製品価格を上げなければ、利益がなくなってしまいます。

 

しかし、製品価格を上げてしまうと他の安い製造業者に乗り換えられる可能性があるのです。

 

特にあまり実績がなく安さをウリにしている製造業者は低価格が最大の競争優位性となっている場合があります。そのため、価格を上げると受注が大幅に減る可能性があるので注意してください。

資源価格の今後の見通し

資源価格の今後の見通しはあまり明るくないでしょう。

 

なぜなら、資源価格が上昇した原因が解決されない可能性が高いからです。

 

資源価格が上昇した原因は4つあると解説しました。コロナ収束による資源需要の急増は数か月後には落ち着くと予想できますが、他の3つの原因はまだまだ続きそうです。

 

ウクライナ侵攻についてはロシアでプーチン大統領が再選したことから、今後も継続して攻め続けると考えられます。

 

地球温暖化を抑制するために化石エネルギーによる発電から再生可能エネルギーによる発電に代替されてきており、この流れは今後も変わらないでしょう。

 

このように現在の状況を考えると、資源価格が今後下がることはないと考えられます。

製造業者が今すぐすべき対策

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資源価格が上昇しているときに、製造業者がすべき対策は3つです。

  • 製品の価値を高める
  • 代替素材を検討する
  • 省エネ設備を導入しコストカットする

それぞれ詳しく説明します。

製品の価値を高める

資源価格が上昇している状態では、製品の価値を高めることは非常に重要です。

 

資源価格が上昇する状況で価格競争すれば、海外の低価格の商品に勝てる見込みは薄いでしょう。

 

しかし、製品の価値を高められれば、価格以外の競争優位性を持てるので少し製品価格が上がっても、取引を継続してくれる可能性が高くなります。

 

製品の価値を高めることで自社に継続して依頼してもらえるので、安定した会社経営もできるようになります。

代替素材を検討する

価格変動の激しい原材料を使用している場合は、代替素材を検討するのもいい方法でしょう。

 

簡単に代替素材を見つけることはできませんが、価格変動の少ない代替素材を見つけられれば、会社経営が安定すると考えられます。

 

代替素材を見つける過程は辛く厳しい道のりになることもありますが、自社の仲間と協力して代替素材の開発を進めてみてください。

省エネ設備を導入しコストカットする

省エネ設備を導入しコストカットする方法も良いでしょう。

 

原材料価格が上昇することで製品1個当たりの利益は減少します。その分、省エネ設備を導入し、電気代を抑えられれば、工場全体で見た場合の利益はほとんど同じになるでしょう。

 

日本では電気代の高騰も続いているので、今のうちに省エネ設備を導入するほうがより長く省エネ設備の恩恵を受けられます。

まとめ

この記事では、資源価格が上昇している原因と資源価格の上昇が製造業に与える影響、資源価格が上昇しているときに製造業者がすべき対策を紹介しました。

 

この記事のポイントを整理すると以下のようになります。

  • 資源価格が上昇している原因は「資源需要の急増」「ウクライナ情勢の緊迫化」「化石エネルギーの上流投資の減少」「長引く円安」の4つ。
  • 資源価格の上昇が製造業に与える影響は「原材料価格が上昇する」「利益が減少する」「競争力が低下する」の3つ。
  • 今後も資源価格は上昇し続けると予想できる。
  • 製造業者が今すぐすべき対策は「製品の価値を高める」「代替素材を検討する」「省エネ設備を導入しコストカットする」の3つ。

資源価格の上昇を上手く乗り越え、安定した工場運営をできるようにしていきましょう!

 

最後までご覧いただきありがとうございました。