2023年最新 過度な円安が中小製造業に与える影響について。~日本が世界の製造工場に~



昨今話題になっている過度な円安。140円を超え、170円台も視野に入ってきました。
新型コロナ、ウクライナ有事、エネルギー価格上昇、材料の不足、日本の地政学リスク等、円安の要因は様々。

今回のレポートは、過度な円安が中小製造業に与える影響についてレポートさせて頂きます。
過度な円安は、短期的には材料価格とエネルギーコストを上昇させて経営を圧迫します。
ですが長期の目線に立つと、西側諸国や米国のサプライチェーンに入る事、すなわち世界の工場になる可能性を秘めている。

参考記事:2022年最新 世界から見た日本の製造業。日本の製造業が海外進出をするメリット・デメリット。ニッポン製造業の夜明け!

今回は中小製造業の経営者の立場に立って、円安のメリット、デメリットを解説。
さらに言えば、中小製造業の経営者が打つべき手を解説していきます。
少しでも参考になれば幸いです。

参考ニュース

『円安』を『チャンス』に変える方法「日本企業の生産拠点を国内に戻すべき」
https://news.1242.com/article/358747
円安はやはりプラス? 元日産首脳に聞いた円相場と自動車産業
https://mainichi.jp/articles/20220825/k00/00m/020/006000c

円安って何?

円安とは?
参考文献:nhk
円安とは、円の他通貨に対する相対的価値(円1単位で交換できる他通貨の単位数)が相対的に少ない状態のことです。

例えば、日本人が旅先のハワイで買い物をするため、手元にある1万円をドルに両替するとします。為替相場が1ドル=100円であれば、1万を100で割った100ドルになります。しかし、もし為替相場が1ドル=80円であれば、1万を80で割った125ドルになり、また、1ドル=125円であれば、1万を125で割った80ドルになります。これらを比べると、1ドル=80円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより多くのドルを取得できるので、円高ということになります。逆に、1ドル=125円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ金額の円についてより少ないドルしか取得できないので、円安ということになります。

中小製造業に例えると、円安になる事で海外から輸入する部品は高くなります。
日本のエネルギーや材料は海外からの輸入に頼っているので、材料やエネルギーコストは上昇する話になります。
一方で円安は、円の価値が下がる事を意味するので、海外からの生産依頼が増える傾向が強くなります。
なぜなら、日本の高品質部品を安く仕入れる事が出来るためです。

円安にはメリットとデメリットが存在し、その両方を上手に操っていく事が中小製造業に求められています。

参考文献

円高、円安とは何ですか?
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/intl/g18.htm/

中小製造業における円安のデメリット

円安のデメリット
中小企業にとって、原価の大半を占めるのは材料コストとエネルギーコストになる。
日本にとって材料とエネルギーは輸入に頼っており、円安が進むという事は製造コストを引き上げ、利益を圧迫する事を意味します
ですから中小製造業にとって円安は製造コストを上げてしまう、経営を苦しくする大きな要因になってきます。
営業利益率平均5%の中小製造業にとって、製造コストの上昇は、経営に大きなインパクトを残します。
それはほんと死活問題で、キャッシュを持っていない企業にとっては、経営の根幹を揺るがす問題になっています。

中小製造業における円安のメリット

円安のメリット
デメリットがある一方で、当然ながらメリットもあります。
円安は円の価値が下がる事を意味しています。
海外のバイヤーにとって、円の価値が下がるという事は、メイドインジャパン品質を安く買えるチャンスになる事を意味しています。
一説には150円/1ドルを超えると、製造コストは中国より安いという研究結果も出ています。
安かろう悪かろうの中国製品より、高品質の日本製品は、世界から注目を浴びる事にになります。
事実、弊社もアメリカからの問い合わせが数件来ており、今はかつてないビジネスチャンスに恵まれていると考えています。

中小製造業が今出来る対策

部品調達
そんな中で今出来る対策は、たった一つ。
西側のサプライチェーンにはいる為、西側諸国に営業をかけていく事です。
今日本は世界から注目をされています。なぜなら、メイドインジャパンはいまだに健在だから。

ホームページを英文対応に

外国に営業をかけていく難易度は非常に高い事はよく理解しています。
だからこそ、今のIT技術を活用する必要があります。
自社ホームページを英文対応にする事です。
飲食はインバウンドに対応する為、英文や中国文のホームページは当たり前に用意されている。
製造業も同様で、アメリカや西側諸国は今サプライチェーンを探しているからこそ、英文のホームページを用意する必要がある。
あとはGoogle上位検索されることで、自社を世界にアピールする事が可能になります。

海外の展示会に積極参加

海外で行われる展示会に参加する事も、非常に大切になってきます。
米国や欧州では、頻繁に展示会が開催されています。
日本の展示会ではなく、海外の展示会に積極的に参加する事で、販路は格段に広がっていきます。

キャッシュを残す事より、設備と人材に投資

いざ受注が決まっていても、設備と人材がいなければ、製造する事が出来ない。
どうせ円安なのであれば、設備や人材に投資を行い、キャッシュを残すことが考えない
黒字でキャッシュをある程度残しながらも、設備や人材に投資を行う事が今重要だと考えています。

最後に

物事にメリット、デメリットがあるように、円安にもメリット、デメリットが存在します。
企業として生き残っていくためには、そのメリット、デメリットを上手に活用する事が求められる。
デメリットだけに目を向けても意味がないし、メリットだけに目を向けても意味がない。
大切なことはバランス感覚で、円安のメリットとデメリットを正しく把握し、企業を導いていく経営者こそが今求められていると考えています。
今の時代はチャンスか、それとも危機か。それは経営者の考え方一つ。
チャンスと捉えて、対策を講じていく事に、私は未来があると信じてやまない。