コロナウイルス蔓延や生成系AIの発展により、近年の半導体産業は好調でした。しかし、永遠に好調が続くはずもなく、半導体産業の盛り上がりは陰りを見せています。
半導体産業の盛り上がりが低迷すると、製造業者は深刻なダメージを受けるところが多いです。
この記事では、製造業者が業績不振に陥っている理由と製造業のなかでも好調な分野、業績不振の製造業者ができる対策を紹介します。
業績不振の時に踏ん張れれば、より一層会社が強くなり安定するので、この記事を読んでできる対策を実行していきましょう。
目次
半導体産業が好調だった理由
これまで半導体産業が好調だった理由は2つあります。
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それぞれ詳しく説明します。
AIやIoT分野が活発だったから
1つ目は、AIやIoT分野が活発だったからです。電化製品のIoT化、生成系AIの発展などここ数年でAI・IoT分野は飛躍的な発展をしました。
AIやIoT分野では、半導体にデータ処理や分析、制御などの高度な演算能力や処理速度が求められています。
これからAIやIoT分野はもっと発展していくと考えられており、ますます半導体の需要増加が見込まれます。
しかし、ピーク時に合わせて作った半導体が過剰在庫となり生産調整を行わなければならないため、現在は思うように製品を製造できなくなっています。
コロナウイルス蔓延の影響でPC市場が伸びたから
2つ目は、コロナウイルス蔓延の影響でPC市場が伸びたからです。
具体的には、2018年に日本国内のパソコンの出荷台数は約1,109万台だったのに対し、コロナウイルス蔓延が始まった2020年には約1,591万台になっています。
パソコンには半導体が欠かせない部品となっており、コロナウイルス蔓延の影響によるパソコン需要の増加が半導体産業の好調を支えていました。
製造業者が業績不振に陥る理由
絶好調な半導体産業でしたが、業績不振に陥る製造業者が増えてくるなど、最近になって少しずつ見通しが悪くなってきました。
製造業者が業績不振に陥り始めた理由は4つあります。
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それぞれ詳しく説明します。
大量生産が原因で過剰在庫になっているから
1つ目の理由は、大量生産が原因で過剰在庫になっているからです。
少し前までは半導体をはじめ多くの部品が供給不足になっていたため、製造業者は工場をフル稼働で対応していました。
しかし、多くの製造業者が新しく工場を建設したり、生産効率をあげたりすることで供給不足が解消されてきたのです。
供給不足が解消された今、製造業者はこれまでの過剰在庫を整理しなければならなくなり、生産調整を行っています。
生産調整のため、思うように製品を作れず、利益があげられないのです。
中国市場が低迷しているから
2つ目は、中国市場が低迷しているからです。
圧倒的な経済成長をしてきた中国ですが、その経済成長の早さが近年遅くなってきています。世界的にも中国の成長見通しを下方修正する動きが続いています。
中国の成長率の低下は一時的な現象ではなく、人口減少や海外からの直接投資の減少などの要因によるところも大きいようです。
人口減少や投資の減少といった一時的ではない要因の影響で成長率が低下しているとすれば、中国市場の今後の見通しは明るくないでしょう。
スマホやPC向けの半導体が不調だから
3つ目は、スマホやPC向けの半導体が不調になってきているからです。
コロナウイルス蔓延の影響により爆発的に需要が増加したスマホやPCですが、コロナウイルスの収束と同様に需要も減り続けています。
さらに新しく工場を建設したり、生産効率をあげたりする製造業者のおかげで半導体の供給量も増えました。
需要量は減少し、供給量が増えたため、スマホやPC向けの半導体の価格が下落する可能性があります。このような状況下では、業績が悪化する製造業者は多くなるでしょう。
世界景気に対してマイナスイメージがあるから
4つ目は、世界景気に対してマイナスなイメージしかないからです。
ロシアウクライナ戦争を始め、世界情勢は非常に不安定な状態です。このような不安定な状態では、企業や消費者は支出を制限する傾向にあります。
企業や消費者の支出制限は、製造業者の需要の減少に直結し、製造業者が業績不振に陥る可能性が高まるのです。
製造業のなかでも好調な分野の特徴
製造業者の業績は不調ですが、製造業のなかでも好調な分野があります。好調な分野の特徴は2つです。
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それぞれ詳しく説明します。
成長産業であること
1つ目は、成長産業であることです。
具体的には、パワー半導体、医療、ESGなどの業界が好調です。
スマホやPC向けの半導体は供給過多で不調ですが、鉄道車両やエアコンなどの家電製品に多く使用されているパワー半導体分野は好調です。
引用:矢野経済研究所
パワー半導体の市場規模は右肩上がりで増加しており、2030年には約370億ドル規模になると言われています。
他の業界も近年需要が増加しているため、他の分野よりは見通しが明るいと思われます。
エンドユーザーが北米であること
2つ目は、エンドユーザーが北米であることです。
なぜなら、北米市場は成長性・潜在性の高さが見込まれており、今後さらに市場が開拓されていく予想だからです。
実際にアメリカに進出している日本企業も北米市場の販売拡大をしていく見通しを立てていると日本貿易復興機構の調査で分かっています。
好調な分野以外の製造業者ができる対策
最後に好調な分野以外の製造業者ができる対策を3つ紹介します。
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それぞれ詳しく説明しますね。
新たな収益の柱を作る
1つ目の対策は、新たな収益の柱を作ることです。
新しい市場や顧客セグメントを開拓し、新製品や新サービスを開発することで新たな収益の柱を作りましょう。新製品の開発の時には、自社の強みが活きる分野にすると他社との差別化ができます。
また、中小企業は特に大企業が狙えないようなニッチな分野を攻めることで、大企業と勝負せずに新たな収益の柱を作れる可能性が高くなります。
世界市場、特に北米市場に目を向ける
2つ目の対策は、世界市場、特に北米市場に目を向けることです。
エンドユーザーが北米の分野は好調であるため、世界市場を狙うのであれば、北米市場を中心に狙っていく方が賢い選択でしょう。
北米進出のためには、ホームページの英文化や現地の需要、トレンドの把握が必要不可欠です。進出する場合は、しっかり準備することで成功への道が開けるでしょう。
製造業のノウハウが活きる新事業を始める
3つ目は、製造業のノウハウが活きる新事業を始めることです。
具体的には、独自の生産技術や品質管理体制を生かしたOEM事業や、製品のライセンス供与や技術サポートなどのビジネスモデルを展開することがあげられます。
製造業の不調は度々訪れることが予想されるので、製造業のノウハウが活きる新事業を成功させることで、企業がより安定します。
まとめ
この記事では、製造業者が業績不振に陥っている理由と製造業のなかでも好調な分野の特徴、好調でない製造業者ができる対策をわかりやすく紹介しました。
この記事のポイントを整理すると以下のようになります。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
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【御津電子での実績】苦しい工場経営を1年でV字回復。技術力と人材育成を通じて、日本を代表する企業を目指している
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