製造業において、先月ブログにて取り上げた半導体だけでなく、鋼鉄や銅などについても深刻な材料不足が解消されつつあります。
関連記事:2022年最新 半導体バブルは終焉。製造業に、深刻な受注減が襲い掛かる
発注しても納期の回答頂く事が難しかった状況から、注文してから2ヶ月程度で材料を入荷してもらえるケースも増えてきています。
材料不足が解消され製品が作れるようになり、お客様からの注文も殺到するようになったにも関わらず、次の問題が浮き彫りとなってきました。
その問題とは、大量に仕入れた材料の在庫がはけないという問題が製造業に降りかかる可能性が高くなってきていることです。
同時に、注文のキャンセルが相次いで発生しているという事です。
材料不足解消による製造数の停滞から反転して、急速な景気拡大は経済に大きなダメージを与えつつあります。
ここでは、材料不足から一転して、材料の供給に問題がなくなったにも関わらず、その在庫がはけないことについて解説していきます。
弊社が持っている情報を共有しますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。
目次
注文をこなす為に、高くても材料を購入している現状
これまで材料不足により、生産ができない状態が続いていましたが、材料不足解消によって、その問題は解消しつつあります。
ただ材料の高騰自体は続いており、材料の入手については引き続き警戒が必要です。
また材料の高騰によって、商品の販売側である企業の利益率は下がっています。
しかし売上は上がっているため、材料の仕入れ価格が高騰しているにも関わらず、それを無視して価格の高い材料を仕入れる傾向にあります。
引き続き材料の高騰が続けば、その増加額を商品の販売価格に転嫁して企業利益を確保することにもなるでしょう。
注文が減り始める兆候
現在製造業においては、その注文量が減り始めている傾向にあります。
注文残は大きく抱えている状況にありますが、注文キャンセルが入るなどして、様々な兆候が出始めているのが現状です。
現状では企業が受注量を賄いきれなく受注残を大きく抱えていますが、足元の注文はコロナ感染拡大前のピーク時に比べて受注量が減少している傾向にあります。
そのため、長期的視点に立った場合企業の受注残は解消され、需要と供給のバランスが取れるようになっていき、材料不足は解消されていきます。
しかし受注量の低下は日本経済が衰退するという意味も含まれているため、やはり受注量がコロナ感染拡大以前の水準まで戻ることが望まれるところでしょう。
木材業界の事例
弊社ブログでも以前取り上げましたが、以前木材業界ではウッドショックがという現象が起こり、木材の価格が倍以上に高騰しました。
関連記事:2021年最新レポート ウッドショックと製造業への影響
参考URL:経済産業省 新型コロナがもたらす供給制約;ウッドショックの影響
これは木材の需要と供給のバランスが崩れ、需要に対して供給が追いつかない状態になったため発生した現象。
このウッドショックは現在は解消され、その価格水準はコロナ感染拡大の影響が起きた2年前に戻ってきています。
ウッドショックによって木材が高騰していた時期に購入した企業にとっては、高値で購入した木材によって経営を圧迫している事態が発生しています。
今後の見通し
今後の見通しとしては、需要と供給のバランスが崩れる状況はこれからも起きる可能性があるということです。
どのような時代においても、好景気の時もあれば不景気の時もあります。
好景気という高い山もあれば、不景気という深い谷もあり、それを繰り返しながら世界経済は成長していきます。
製造業でも木材業界で起こったウッドショックと似通った現象が起こりつつあります。
実際に製造業において発注量が減ってきており、需要と供給のバランスが戻りつつあります。
中小経営が行うべき事
これら日本を取り巻く経済状況を踏まえ、中小企業が行うべきことはそれは2点
お客様の注文状況を把握
当たり前の事ですが、お客様の注文状況をさまざまな方法を用いて正確に把握することで、材料の過剰仕入れを防ぐことにより、材料の高掴みを防止することができます。
とにかくお客様とコンタクトをとる事で、注文の状況を把握していきます。
注文の状況に合わせて在庫調整
リードタイム・注文状況・在庫状況、在庫状況に合わせて、在庫調整を行う必要があります。
在庫調整の方法は2点あります。
まず、すでに抱えている在庫を廉価で販売して、在庫を処分することです。
次に仕入れ数量を調整する方法です。
生産に必要な量をきめ細やかに把握することが、在庫調整に繋がっていきます。
まとめ
ここまで材料不足の解消にあたり、製造業へどのような影響があるかを解説してきました。
この記事のポイントを整理すると以下の通りとなります。
・深刻な材料不足に回復が見込まれるが、材料を高掴みした企業においては、損失が大きい。
・以前起きたウッドショックのようなことが製造業でも起きることが懸念されている。
・中小企業が今後行うべきことは、お客様の注文状況を正確に把握することと、在庫管理を徹底すること。
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
中小製造業の経営者でしか知りえないリアルな情報を発信
【主な経歴】リクルート出身。数々の個人賞を受賞し、GMを歴任
【御津電子での実績】苦しい工場経営を1年でV字回復。技術力と人材育成を通じて、日本を代表する企業を目指している
【講演実績】
おかやまテクノロジー展(OTEX)2022 『仲間と共に歩むV字回復ストーリー』
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