2023年最新 カントリーリスクが日本の製造業に与える影響とその対策について



最近カントリーリスクという言葉が注目を集めています。
カントリーリスクは、対象となる地域や国において、政治、経済、社会制度、法規制などに影響を与えるリスクを指します。
世界経済は、各国間のつながりが緻密になってきている分、どこかの国のカントリーリスクが発生するだけで、サプライチェーンに影響が起きる実態が浮き彫りとなります。

製造業においては、日本企業が海外メーカから部品を調達する時のリスクとして捉えられています。
コロナ禍や、ウクライナ情勢の悪化など有事である今の世界情勢は、まさにカントリーリスクが大きく影響を及ぼしている時代と言えるでしょう。

ここでは、カントリーリスクが日本の製造業に与える影響についてレポートさせていただきます。
弊社が持っている情報も共有しますので、是非とも参考にしていただければと存じます。

カントリーリスクとは?

カントリーリスク
カントリーリスクとは、海外取引先とのビジネスで発生する諸所のリスク以外に、『取引先の国の政治経済、社会情勢といったその国特有の変化や問題に起因するリスク』を指します。
製造業においてのカントリーリスクは、今起きているウクライナ侵攻やコロナ禍などの世界情勢を揺るがす有事の時に発生する部品調達リスクを指します。
つまり、海外からの部品調達が停止することを意味しています。
現在海外からの部品調達が止まる理由としてあげられるのは、コロナ禍のため人流抑制が行われ部品工場の生産が止まってしまっていることと、部品の輸出に使われるコンテナが不足していることがあげられます。
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カントリーリスクとは??

今後の見通し


カントリーリスクが日本の製造業に与える影響については、今後すぐに持ち直すことは無いと考えています。
例えば、世界の製造業の中心地である東南アジアでは、ロックダウンが実施されています。
このロックダウンはおそらく長く実施される可能性が高く、当然製造業の肝となる部品の加工なども行われることはないでしょう。
日本企業にとっては、東南アジアのロックダウンが解消しなければ、部品の調達も難しく、製品の生産には程遠い状態が続くことが予想されます。
そんな状態がは続くとして、日本企業ができることはほぼないといっても過言ではありません。

企業がやるべき事

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前述したカントリーリスクに対して、日本企業ができることは以下の3点を考えており、弊社も実際に実行をしております。

図面をマザー工場に集約し、複数のサーバーで保存

日本企業が講じることができるカントリーリスクへの対策の一つは、マザー工場に図面データを集約し、複数のサーバーに共有することです。
マザー工場とは、国外に工場拠点を建てる時に、生産システムの技術面やマネジメント面で見本となる工場。つまり、見本モデルとなる国内工場のことを指します。
そのマザー工場に部品を製造するための図面データや技術的情報を集約することで、海外工場で製造が立ち行かなくなった場合でも、製品の生産に困ることがなくなります。
ただ、製品を加工する時の製品単価は、海外で製造した時と比較すると高くなりますが、生産がストップすることはありません。
万が一に備え、頭脳は集約し、複数のサーバーで保存しておく必要があります。

図面の部品を作る工場を最低でも2つ以上持っておく

カントリーリスクを解消できる次の施策は、部品を製造できる工場を日本に2箇所以上は持っておくことです。
有事の時に、国内に生産拠点があることで、カントリーリスクによって製品の生産がストップすることを回避することができます。
国内拠点を2つ以上もっておけば、通常時の生産量を全てカバーできるわけではありませんが、通常時に匹敵する製品の生産量を維持することができるでしょう。

日本で生産を行う

最後のカントリーリスクを回避する方策として、日本で製造することがあげられます。
全ての生産量を海外拠点に依存することなく、日本国内でも生産しておけば、有事の時に完成品を製造できないというリスクを回避することができます。
また、品質や納期などを含めたトータルコストを考え時に、実は日本で作るほうが安いと、最近注目されています。
また、FA機器やロボット発達で多品種少量でも自動化が可能になってきました。
そう考えると海外で生産するリスクは非常に高く、むしろ日本で製造するほうが良いと考えています。

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最後に

ここまで、カントリーリスクとは何か、カントリーリスクを回避するためにどうすれば良いのかを解説してきました。

この記事のポイントを整理すると以下の通りです。
・カントリーリスクとは、取引先の国の政治経済、社会情勢といったその国特有の変化や問題に起因するリスクを意味する。
・カントリーリスクの今後の先行きは不透明。
カントリーリスクを回避する方策は、日本で製造する事。または国内にマザー工場を設置しておいて、生産システムや技術面のノウハウを集約させておくこと。
いずれにせよ、これは経営者の判断になってきます。
世界を見渡し、状況を見極めて、10年先の一手を打つ。これが経営者に求められているように思えます。