製造業の働き方改革|御津電子が考えるワークライフバランスと実践事例


「ワークライフバランス」という言葉は、いまや多くの企業で掲げられる理念になりました。

一方で、2025年10月には新総裁となった高市早苗氏が「ワークライフバランスという言葉は捨てる」と発言し、社会の注目を集めました。

高市氏の強い決意の表れとも言えますが、その一言にドキッとした方も多いのではないでしょうか。

「働くこと」と「生きること」、その両立をどう考えるか──。

このテーマは、政治の世界だけでなく、私たち製造業の現場でも非常に身近で、避けて通れない課題です。

私たち御津電子では、ワークライフバランスを“スローガン”ではなく、“生き方そのもの”として考えています。

働く時間も、家族と過ごす時間も、どちらも人生をつくる大切な一部。

今回は、製造業の現場から見たワークライフバランスの意味と、私たちの取り組みについてお伝えしていきます。

ワークライフバランスとは

ワークライフバランスとは、単に残業を減らすことではなく、仕事と家庭・趣味・地域活動など私生活が両立できる状態を指します。

内閣府の推進サイトでは、「働く人が仕事上の責任を果たそうとすると、仕事以外の生活でやりたいことや、やらなければならないことに取り組めなくなるのではなく、両者を実現できる状態」と定義しています。

抜粋:「仕事と生活の調和」推進サイト 仕事と生活の調和とは(定義)|内閣府 男女共同参画局 仕事と生活の調和推進室

つまり、仕事上の責任を果たしながらも、家族や自分の人生を大切にできるという考え方です。

実際、厚生労働省も長時間労働の是正や年次有給休暇取得の促進を通じて、多様な働き方に対応しながら労働者の健康と生活を守る取り組みを推進しています。

参考:仕事と生活の調和|厚生労働省

ワークライフバランスは個人だけでなく企業にも大きなメリットがあります。

従業員が働きやすい職場は満足度や定着率が高まり、ライフステージに応じた支援があれば離職が減少し社員の心身の健康維持にもつながります

たとえば、従業員が心身ともに健康で活力がある状態ならば、組織全体の生産性向上にも好影響をもたらします。

  • 従業員の心身健康の維持:家庭や趣味の時間を確保することでストレス軽減につながり、健康維持が期待される

  • モチベーション・定着率の向上:社員の満足度を高め、定着率向上・離職防止につながる

  • 優秀な人材の確保:会社のイメージが向上し、多様な人材を引きつける

  • 組織全体の生産性向上:従業員が健康的で活力あふれる組織になることで、パフォーマンスや生産性が向上

こうしてワークライフバランスを整えることは企業にとって「健康的で持続可能な成長戦略」でもあるのです。

製造業におけるワークライフバランスの課題と必要性

製造業では生産現場での仕事が多くを占め、オフィスワーク中心の業種でワークライフバランスの制度を整えるのとは、少し違った難しさがあります。

工場勤務では体力的・精神的負担が大きく、品質や納期に追われることが多いのが特徴です

例えば、部品加工や生産ラインでは機械操作や立ち仕事が多く、気軽にテレワークや時差出勤を導入しにくい面があります

それでも、製造業こそ働き方改革とワークライフバランスの改善が必要とされています。

その理由の1つは、慢性的な人手不足の解消です。

現場の働きやすさを整えることは、女性や若い世代をはじめ、多様な人たちが安心して活躍できる環境づくりにつながります。

会社が「人を大切にする姿勢」を示せば、自然と企業イメージも高まり、新しい仲間が集まりやすくなります。

そして何より、社員が気持ちよく働ける環境は、一人ひとりのやりがいや挑戦する力を引き出し、結果的に会社全体の成長を後押ししてくれます。

これらの理由から、製造業においてもワークライフバランスの視点は欠かせないものとなっているのです。

御津電子が考えるワークライフバランス

私たち御津電子にとって、ワークライフバランスは単なるスローガンではなく、働く上で最も大切にしている価値観の1つです。

当社では「ライフ(生活)が先、ワーク(仕事)はその上に成り立つ」という考え方を基礎にしています。

つまり、私たちは「人は一人では頑張れない」という前提のもと、家族や仲間の支えがあってはじめて力が発揮できると考えています。

だからこそ、家族や仲間との時間を犠牲にしてまで働くことは非合理であり、本当の意味で良い働き方とは言えません。

家族との夕食や子どもの学校行事の時間、友人との交流。人生におけるこうした時間こそが最も大切な資源であり、これをしっかり確保しながら働くことこそが私たちの基本姿勢です。

会社の具体的施策としては、たとえば有給休暇の取得を積極的に促進しています。

特に子育て中の社員には「お子さんの参観日や運動会などの行事には必ず参加してほしい」と伝えています。

学校行事は1年間に数回程度しかなく、子どもの成長を間近で見る貴重な機会です。

一例をあげれば、参観日・運動会・音楽会など年間4回の行事が12年間続けば約48回。

こう考えると、「行ける行事には必ず参加する」ことは当然だと思えます。

私たちの考えるワークライフバランスとは、このように家族と過ごす大切な時間を確保できる働き方なのです。

政府も厚生労働省のサイトで「長時間労働の抑制や有給休暇取得の促進など、仕事と生活の調和のための取組み」を推進すると掲げており、私たちの考え方は国の方針とも一致しています。

また、社内制度だけでなく日々のコミュニケーションも大切にしています。

家族や仲間が何を感じ、何に困っているのかを率先して聞き取り、一緒に解決する姿勢が不可欠だと考えます。

制度で定める前に、「目の前にいる大切な人のために何ができるか」という心配りこそ、ワークライフバランスを実現する第一歩だと信じています。

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人的資本経営について|御津電子

トップ(経営者・リーダー)に求められる視点

会社を率いる経営者・リーダーにこそ、ワークライフバランスの実践が組織の強さに直結すると私は考えています。

経営のトップが家庭を顧みず、心身ともにボロボロな状態であれば、正しい判断やビジョンが出てくるはずがありません。

トップ自身の人間関係や健康が崩れれば、組織全体にも必ず悪影響が及びます。

だからこそ、私たちの経営トップは率先して「生活あってこその仕事」を体現し、周囲にもそれを示しています。

もちろん、製造業では緊急のトラブルや特別な繁忙期など、どうしてもワークライフバランスを優先できない状況も起こり得ます。

そのような非常時には責任を持って対応するのは当然ですが、これを無期限に続けてはいけません。

当社では個人的な目安として「非常時は3年が限度」と定めています。

3年を超える間ずっと生活を犠牲にするような働き方では、トップ自身も組織ももたなくなります。

大変な局面を乗り越えた後には、必ず元のバランスに戻す決意を示すことも、リーダーの責務だと考えています。

新総裁の「ワークライフバランスは捨てる」発言

2025年10月、日本の政治の場で「ワークライフバランスという言葉は捨てる」といった発言が話題になりました。

自民党の新総裁に選出された高市早苗氏は、「私自身がワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて働きます。」と宣言したのです

世間では驚きの声があがりましたが、私はその裏に強い覚悟があるのではないかと感じました。

本来、家族を大切にしてきた議員ではないかと私は推察します。

そんな彼女がワークライフバランスを顧みないと言うのであれば、それだけ短期間で大きな目標や重大な問題を抱えているからでしょう。

外に向けられる強い言葉の裏には、内なる葛藤や覚悟が潜んでいるかもしれません。

いずれにせよ、このような極端な働き方を長く続ければ、当人はもとより周囲の人も必ず疲弊し、結局ワークライフバランスは崩れてしまいます。

トップに立つ以上、どんなに強い意志を持っていても、このバランスを見失ってはならないと感じます。

やむを得ない非常時であっても、その後は必ず休息を取り戻し、自らの体と家族を労る姿勢がリーダーには求められるのです。

まとめ

ワークライフバランスを真剣に考えるとき、私が最も大事にしている問いがあります。

「何のために、誰のために、私はこの仕事をしているのか?」

お金のため?社会的な評価や自己実現のため?もちろんそれらも働く動機になり得ます。

しかしそれだけでは、どれだけ高い目標を達成しても心が満たされません。

私たち御津電子は、自分を支えてくれる大切な家族や仲間との時間を守り、豊かな人生を続けられるようにするために仕事をしています。

仕事は社会課題に取り組むための手段であり、それ自体がゴールではありません。

大切なのは仕事と人生のバランスを保ちながら、意義のある仕事を続けること

その土台となるのがワークライフバランスだと、私は信じています。

これはあくまで御津電子の考え方の一例に過ぎません。

人それぞれ価値観や状況は異なります。

皆さんもぜひ、自分自身に問いかけてみてください。

「私にとってのワークライフバランスとは何か」、そして「何のために働いているのか」。

その答えが見つかれば、おのずと充実した働き方と豊かな人生への道が見えてくるはずです。

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