人的資本経営、製造業の事例:中小企業工場管理責任者が見出した「人の育成」へのフォーカス



このブログでは、御津電子の等身大の人的資本経営をお伝えしたいと思います。

御津電子は、人を中心に経営を考えており、その事例がたまってきています。

中小企業だからこそできる、人的資本経営が、少しでも参考になれば幸いです。
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大賀さんの奮闘:現場上がりの工場管理


御津電子株式会社の牛窓工場を管理する大賀さんは、現場での豊富な経験を経て管理職となり、工場全体の管理業務を任されています

工場責任者として、営業、工場管理、人材育成、品質管理、人事、総務、収支管理など多岐にわたる業務を担当してきました。
特にアナログな管理方法が基本で、タイムカードの集計は手作業、収支管理はエクセルへの手入力、請求書の確認などが日々の業務として含まれていました。

そのため、大賀さんの月間業務時間は160時間は、膨大な量の業務に追われていました

同時に現場での人材管理や成長に対する課題を常に意識していました。

悩みから得た気づき:人の育成こそが工場の未来を創る


日々の工場管理業務を通じて、大賀さんは「人の育成」こそが工場の長期的な発展を支えるために欠かせない要素であると強く感じるようになりました。

優れた戦略や最新の機械があっても、それを推進し結果を出すのは「人」です。ただ「人」がいれば良いわけではなく、従業員が働きやすく、安心して業務に取り組める環境を整えることで、各人が本来持つ力以上の成果を発揮できると気づきました。

これは、工場の業績を向上させるための大きなエンジンであり、成長の要だと考えるようになったのです。

経営陣との協力で「人の育成」に集中できる環境作り


大賀さんは、経営陣と連携し、管理業務の効率化を図ることで「人の育成」に集中できる環境を整えました。

まず勤怠管理には「ジンジャー」を導入し、収支管理や請求書管理には「freee」を使用、見積もり作成には「アクセス」を活用しました。
また、係長に分担可能な業務を移譲することで、月間40時間分の業務時間削減を実現しました。

このように、業務負荷を減らすことで管理者として従業員育成に専念できる体制を整えたのです。

「人の育成」にフォーカスした管理職の役割


こうして創出された時間を、大賀さんは従業員との面談に積極的に充てることにしました。

面談では、従業員の困りごとや悩みをヒアリングし、目標設定を共に行い、評価のフィードバックや将来的なビジョンの共有に力を入れました。

個々の成長意欲を引き出し、モチベーションを高めるための対話を大切にしたのです。その結果、工場の収益と売上は1.2倍に伸び、採用応募数も月に20名増えるなど、工場の業績と人材確保において大きな成果が現れました。

経営から見た「人の育成」へのフォーカスの効果


「人の育成」に集中することで、経営視点からも新たな事業機会が見えてきました。具体的には、障害者雇用施設の経営に挑戦するという新しい道です。約100名の雇用創出と社会復帰を支援することを目標とし、現在この事業の立ち上げが進行中です。

一番のうれしいことは、この事業は従業員のビジョンヒアリングを重ねる中で出てきたことです。従業員のありたい姿を聞き続けることで、新しい事業が誕生する。経営者としてはこれ以上の喜びはありません。

この事業は、収益性や成長性はもちろん、社会貢献度においても非常に高く、御津電子の経営において大きなインパクトを与える可能性があります。

御津電子が見出した「人的資本経営」の意義

この事例は、60名規模の会社である御津電子における等身大の実例です。AIやオートメーションが進化し続ける時代だからこそ、「人」に焦点を当てた経営の重要性が増していることを実感しています。人の可能性を引き出し、個々の自己実現をサポートする経営は、本業の収益を拡大するだけでなく、新たな事業の創出にもつながり、より多様な社会貢献が可能となるのです。

この御津電子の実践が、人的資本経営を検討している多くの経営者の方々の参考になり、人材育成と業績向上に役立つことを願っています。