「製造業でIoTを上手く活用できる?」
このように疑問に思っている製造業者は多いでしょう。IoTを製造業に導入するメリット・デメリットを押さえれば、効果的にIoTを活用できます。
この記事では、製造業におけるIoT活用のメリット・デメリットと製造業でIoTを活用するときによくある失敗を解説しました。
この記事を読めば、製造業でIoTを活用するときの注意点がわかり、記事を読む前と比べてより効果的なIoTの活用方法が思い浮かぶでしょう。
IoTとは
IoTとは「Internet of Things」の略で、インターネットにつながったさまざまなモノが情報をやりとりする仕組みのことです。
IoTを活用することで、工場の機械や自動車、家電などをインターネットに接続して、遠隔地から操作したり、状態を確認したりできます。
センサーや通信機器、クラウドサービスなどの技術の発展によってIoT設備は急速に普及しており、今後はあらゆるモノがインターネットにつながる社会が到来すると予測されています。
製造業でIoTを活用するメリット
製造業でIoTを活用するメリットは以下の4つです。
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それぞれ詳しく説明します。
業務効率化ができる
IoTを活用することで、工場管理の大半をデジタル化できます。
工場管理をデジタル化することで、生産効率や在庫状況を最適化できるので、業務効率をより高められるのです。
業務改善に取り組む場合もIoT設備を活用して得られたデータがあれば、客観的な視点に立って施策を考えることができるので、成功する確率が高まるでしょう。
設備の異常やトラブルに早く気付ける
工場の設備にIoTを導入すると、設備の異常やトラブルに早く気付けるようになります。
設備のエラーやトラブルに早く気付けることで、設備不良による事故や不良品の発生といった大きなトラブルを未然に防げるのです。
また、設備の小さな故障に迅速に対応できれば、長い期間設備を止めることがなくなります。そのため、設備の稼働時間を最大化することにも繋がるでしょう。
品質管理が向上する
センサーを用いて長さや重さ、温度などの情報を計測し定量化する技術が搭載されたIoT設備を使うことで、製品の検品や品質の検証が正確になります。
人間では気付けないような欠陥にIoT設備を導入することで気付けるようになります。
さらにIoT設備を導入すると人間だけが確認するよりも早く確認できるため、品質管理の正確性とスピードが向上するのです。
製品の品質が向上すれば、顧客満足度も上がるため、比例して売上も上昇していく可能性もあるでしょう。
ノウハウを次世代に引き継ぎやすくなる
製造業ではこれまで熟練技術者の長年の勘を頼りに製品作りをしていた業者も多かったように思います。
しかし、技術者の高齢化により、高度な技術を後継者に引き継ぐのが難しくなってきたのです。
IoTを活用すれば、熟練技術者の動きを詳細に分析し、長年の勘に頼ってきた部分を言語化できます。
高度な技術を言語化することで、多くの人材が高度な技術を習得でき、工場の人たちの技術力の底上げになるでしょう。
製造業でIoTを活用するデメリット
製造業でIoTを活用するメリットを4つあげましたが、デメリットもあります。
製造業でIoTを活用するデメリットは以下の3つです。
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それぞれ詳しく説明します。
導入にコストがかかる
IoTを導入する際には、一定のコストがかかります。
IoT設備には多種多様なものがあるため、どれくらいのコストがかかるかは自社の状況やIoTを導入する目的によってさまざまです。
工場全体をIoT化しようと思えば数億円がかかってしまう場合もあり、費用対効果をしっかり考え、費用に合う効果が出ると予想されるIoT設備の導入をおすすめします。
ネットワークのセキュリティが完璧ではない
IoTはインターネットを通じて、情報のやり取りをするため、セキュリティ面で完全に安全であるとは言えません。
使っている設備のアップデートを怠ってしまうと、内部情報が外部に漏れてしまう場合もあります。
機密情報をIoT設備で扱う場合は、特に注意して導入を進めましょう。
IoTに精通した人材が不足している
IoTを導入できたとしても、上手く活用する人材がいなければ宝の持ち腐れです。
しかし、IoTに精通した人材はIT業界に就職してしまうため、製造業界には非常に少ないのが現実です。
そのためIoTを導入するときには自社の社員を教育するか、外部の協力者に依頼し、IoTに精通した人材を配置できるようにしましょう。
製造業のIoT活用でよくある失敗
製造業でIoTを活用しようとしても、失敗してしまうケースもあります。
製造業のIoT活用でよくある失敗は以下の3つです。
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それぞれ詳しく説明します。
現場に定着しない
IoTを活用し始めると、現場の生産フローが変わることが多いです。
生産フローを新しいものに変える場合は、現場の人に寄り添ったものに変えなければ、現場の人が使いにくい設備になってしまう可能性があります。
現場の人が使いにくければ、上手くIoT設備を活用できず、生産性を下げる可能性もあります。
経営者は現場の人が受け入れやすいIoT活用を考えるのが大切です。
短期間で成果を求めすぎる
IoT化には数多くの工程があり、短期間で成果を求めすぎると失敗してしまう可能性が高いです。
IoTを導入し始めた当初は、使い慣れていないIoT機器を上手く使えずに生産効率が下がってしまうかもしれません。
効果を急ぐ気持ちも十分わかりますが、短期間で成果を求めると現場の人を焦らせてしまうこともあるので、注意してください。
既存システムとの連携が難しい
IoTを導入するときに、全てを新しいものに変えるのであれば関係ありませんが、基本的には少しずつIoT設備を導入すると思います。
少しずつIoT設備を導入する場合は、既存システムとの相性を必ず確かめてください。
既存システムとの相性が悪い場合、IoT設備の導入で生産効率が下がってしまうケースも考えられます。
既存システムとの相性や現場で利用する人の使い勝手を考えながら、IoT化を進めると上手くいきやすいです。
製造業でIoTを導入する手順
最後に製造業でIoTを導入する手順を解説します。
製造業でIoTを導入するときに必要なステップは以下の4ステップです。
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それぞれ詳しく説明します。
IoTを活用して解決したい課題を見つける
IoTを上手く活用するためには、解決したい課題を見つけることが重要です。
解決したい課題が曖昧でIoTを導入した場合、想像したような成果が得られないことがあります。
専門家を頼るとしても、課題がはっきりしていないと良いIoTの導入プランが提案されない可能性があります。
「自社で業務効率を上げたい工程はどこなのか」「コストカットしたいところはどこなのか」などを明確に洗い出しておきましょう。
課題に適したIoTの活用方法を見つける
課題の洗い出しができれば、その課題に適したIoTの活用方法を見つけることが大切です。
IoT設備はさまざまな種類がありますが、自社の課題に適した活用をしなければ、あまり効果が見込めません。
また、現場の人が使いやすいIoT設備を導入できれば、現場の人の士気を上げることもできますので、慎重に導入する設備を検討しましょう。
機械や設備を導入する
導入するIoT設備が決まれば、その設備を導入するフェーズに移ります。
IoT設備を導入するタイミングは、繁忙期を避けるのが無難です。なぜなら、IoT設備を導入した当初は、トラブルが多く発生すると予想されるからです。
閑散期にIoT設備を導入し、生産効率をより高めたうえで、繁忙期を迎えるのが良いでしょう。
自動化する
設備の導入が進み、起きるトラブルが減ってくれば、徐々に人の労力を減らしていくのが良いでしょう。
IoT設備を導入する目的のほとんどは、生産効率を上げるためであり、最終的には人の労力を最低限に抑えたいと考えている人が多いと思います。
IoT設備を導入し、トラブルが起きるごとに改善を繰り返しながら、最小限の労力で設備が作動するのが理想です。
まとめ
この記事では製造業でIoTを活用するメリット・デメリットと製造業のIoT活用でよくある失敗、製造業でIoTを導入する手順を解説しました。
この記事のポイントを整理すると以下のようになります。
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製造業でIoTを上手く活用できると、無駄なコストを省け、生産効率が向上します。
IoTの導入時にはある程度トラブルが起きることも予想されるので、繁忙期の導入は避け、閑散期に導入するようにしましょう。
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【主な経歴】リクルート出身。数々の個人賞を受賞し、GMを歴任
【御津電子での実績】苦しい工場経営を1年でV字回復。技術力と人材育成を通じて、日本を代表する企業を目指している
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