経営者必見!原油高が中小製造業にもたらす数値的影響


現在はどんどん原油価格が上昇しており、とどまることを知りません。さらに円安の影響も重なり、原油の値段の上昇スピードが増しています。

 

2023年を迎えた現在は、1バレル当たり11,760円ほどとなっています。

 

原油価格の上昇は製造業の原材料価格の上昇に直結し、会社の業績への影響が懸念されます。特に原材料を海外から輸入している企業の影響は計り知れません。

 

そんな原油価格の上昇が止まらない今、製造業者が取り組むべき対策を弊社で考えたので参考にしてください。

原油高は経常利益を圧迫する

お悩み写真

原油価格の上昇はどれくらい企業の利益に影響するのでしょうか。

 

第一生命経済研究所がまとめたレポートによると、固定費が不変のまま原油価格が10%上昇すると、法人企業の経常利益は2.8%減少するそうです。

 

実は製造業の経常利益への影響は0.8%減少にとどまるのに対し、非製造業の経常利益に及ぼす影響は3.4%減少と大きくなっています。

中小企業だと5倍という試算も出ている

製造業の経常利益の減少が0.8%にとどまるのであれば、あまり影響がないのではないかと考える人もいると思います。

 

しかし、中小企業の場合は原油価格の上昇による経常利益への影響が5倍になるとの試算がでています。

 

理由は、中小企業は大企業に比べて原油の投入比率が高く、価格転嫁がしにくいからです。

 

特に大打撃を受けると予想されている業種は、金属製品業、運輸業、卸小売業の3つです。これらの3つの業種も価格転嫁がしにくく、原油価格の上昇の影響を大きく受けると予想されています。

今後の見通しも暗い

原油価格がこれからどうなるかはハッキリとは分かりません。しかし、今後の見通しも暗いのではないかと予想しています。

 

今後の見通しも暗いと考える理由は、2つあります。

世界情勢が不安定だから

1つ目は世界情勢が不安定だからです。

 

2022年2月に始まったロシアウクライナ戦争を始め、世界ではいたるところで戦争が起きています。

 

ロシアは「石油1日当たりの生産量」が世界3位のエネルギー大国ですが、戦争中なのでロシアからの原油供給が滞っていると予想されます。

 

戦争が起きると原油の供給に滞りが発生し、供給不足による原油価格の上昇が起きるのです。

円安が進んでいるから

2つ目は円安が進んでいるからです。

 

昨今、ニュースでも多く取り上げられているように円安が進んでいます。

 

一時期1ドルあたり120円台まで下がりましたが、現在は1ドルあたり140円ほどまで上昇しています。

 

原油はドルで取引されているため。円安が進んでしまうと価格上昇につながるのです。

 

これからも円安が進むと予想されるため、原油価格の上昇は止まらないでしょう。

金属加工・樹脂成型品を扱う御津電子の実態を解説

簡易金型の注意点

原油価格の上昇による影響を解説してきましたが、実際に金属加工・樹脂成型品を扱っている弊社の実態を解説します。

 

主なポイントは以下の2つです。

  • 2017年からの売上に対し、原油が絡む経費が上昇
  • 価格転嫁をお願いするが追い付いてないのが実態

それぞれを詳しく解説していきます。

2017年からの売上に対し、原油が絡む経費が上昇

1つ目のポイントは、原油価格の上昇が経常利益を圧迫している点です。

 

第一生命経済研究所がまとめたレポートでも中小製造企業の経常利益への影響が指摘されていました。

 

弊社の経常利益は、原油が絡む経費の上昇により2017年よりも5%も圧迫されていることがわかりました。

上の図は2020年からの図ですが、徐々に原油関連の費用が増えているのがわかります。

価格転嫁をお願いするが追い付いてないのが実態

2つ目は、価格転嫁が追い付いていない点です。

 

原油価格が上昇すると、上昇した価格分を販売価格に上乗せしなければ利益が圧迫されてしまいます。

 

弊社でも原油価格の上昇による影響が苦しくなってきたので、価格転嫁をお願いしているのですが、価格転嫁が追い付いていない状態です。

 

価格転嫁が追い付かない状態が続いてしまうと、利益が減少し、経営悪化につながってしまうので対策に追われています。

対策

テレビせとうち プライド 出演 御津電子

ここまで原油価格の上昇のマイナスな影響に触れてきました。

 

何もせず原油価格の上昇の影響を受けてしまうと、企業にとって大打撃となってしまいます。

 

企業の致命傷にならないために、弊社が考えた原油価格の上昇に向けて取り組むべき対策を紹介します。

  1. 省エネ機材や設備に買い替え
  2. 従業員に共有し、全員で節約
  3. 無駄なエネルギー使用を避ける

順番に解説していきます。

1.省エネ機材や設備に買い替え

1つ目は、省エネ機材や設備に買い替えることです。

 

原油価格が上昇してしまうと、電気代も上昇してしまいます。省エネ機材や設備を導入していないと電気代上昇の影響を大きく受けてしまいます。

 

これからますます原油価格が上昇することを考えると、省エネ機材や設備への投資は、やっておいて損はないことでしょう。

2.従業員に共有し、全員で節約

2つ目は、従業員に原油価格の上昇による影響を共有し、全員で節約することです。

 

普段の仕事で従業員が会社の経費を目にすることは少ないと思うので、原油価格の上昇による影響がどれくらいかがわかっていません。

 

従業員に原油価格の上昇による影響を共有すれば、従業員が影響の大きさを知ることができ、進んで節約するようになるかもしれません。

 

経営者がひとりで節約を意識するよりも従業員全員で行う方が効果も大きくなりますので、原油価格の上昇による自社の影響を従業員全員に共有する方がいいでしょう。

3.無駄なエネルギー使用を避ける

3つ目は、無駄なエネルギー使用を避けることです。

 

常に無駄なエネルギーの使用は避けるべきですが、原油価格が上昇しているときは特に無駄なエネルギーは削減しましょう。

 

稼働していない機械や装置の点検をしたり、照明や空調などのエネルギー効率の悪い設備を効率のいい設備に切り替えたりすることで無駄を減らしていくことが大切です。

御津電子の対策

最後に弊社の対策を紹介します。

 

弊社では、上記の対策でもあげたように「原油価格の上昇による影響を全員に共有する」を実施中です。

 

影響を全員に共有し、自社でできる対策を全員で考えることで従業員が主体的に対策に取り組めるようにしています。

 

具体的には、エアコンの使用・不要照明の消灯・温度管理など従業員が提案したさまざまな施策を実践しています。

 

まとめ

この記事では、原油価格の上昇による製造業者への影響と実施することのできる対策をわかりやすく紹介しました。

 

この記事のポイントを整理すると以下のようになります。

  • 原油高は経常利益を圧迫する。具体的には原油価格が10%上昇すると経常利益が2.8%減少する。
  • 製造業者の場合は経常利益が0.8%の減少、非製造業の場合は3.4%の減少となっている。
  • 中小製造企業の場合は5倍の4%の減少になるとの予想もある。
  • 弊社は原油価格の上昇により経常利益が圧迫されており、価格転嫁が追い付いていない。
  • 今からできる対策は「省エネ機材や設備に買い替え」「従業員に共有し、全員で節約」「無駄なエネルギー使用を避ける」の3つ。

最後までご覧いただきありがとうございました。