なぜ人的資本経営が必要なのかー社員を資本と考える企業だけが未来を切り拓く理由


近年、「人的資本経営」という言葉を耳にする機会が増えています。

企業がこれからの時代を生き残るためには、まさに「人を大切にする経営」が不可欠です。

御津電子では、人的資本経営を経営の柱と位置付け、人材の成長と働く環境の向上を最優先に取り組んでいます。

つまり企業活動の中心に「人」を据え、社員が最大限の力を発揮できる環境づくりを重視しているのです。

本稿では、改めてこの「人的資本経営」の意味と重要性について考え、「人を大切にする企業だけが生き残る」と私たちが考える理由を述べたいと思います。

そもそも人的資本経営とは

人的資本経営とは、「従業員を単なるコストではなく、価値を生み出す資本と捉え、その能力や意欲を最大限に引き出すことで企業価値の向上につなげる経営手法」のことです。

一言で言えば、人の可能性に焦点を当て、共に働く仲間一人ひとりを大切にする経営の在り方を指します。

人的資本経営~人材の価値を最大限に引き出す~|経済産業省

従来は、人材を「ヒト・モノ・カネ」の一つとして効率的に管理する発想が一般的でした。

人的資本経営では、人材への教育や働きがい向上を「将来への投資」と捉え、従業員の成長を促すことを重視します。

実際、私も多くの方々に支えられながら成長することができました。

だからこそ、経営においても「人」の重要性を第一に考え、社員が最大限の力を発揮できる環境をどう整えるかを常に模索しています。

もちろん、生産設備への投資やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も重要です。

しかし、AIや自動化など先進技術がどれほど発展しようとも、れを活かし推進するのは結局「人」です。

どれほど優れた戦略や最新技術があっても、優れた人材が育ち、安心できる環境が整ってこそ企業は真に持続可能な成長を遂げられるのです。

人を大切にしない企業は決して生き残ることはできない――私たちはそう確信しています。

人を大切にしない企業は生き残れない

近年、AIの活用や自動化をはじめとした技術の進歩により、多くの業務が効率化されています。

同時に、「人的資本」への注目も年々高まっています。

実際、2023年3月期決算から日本においては有価証券報告書で人的資本に関する情報開示が義務化され、上場企業約4,000社が自社の人材戦略や指標を公表するようになりました。

企業の長期的な価値は、財務指標だけでなく人材育成や働きやすさといった人的資本の充実によって測られる時代になってきたのです。

背景には、従業員の成長やエンゲージメントへの投資こそが企業のイノベーション力や競争力に直結するとの認識が広がっていることがあります。

我が国における人的資本の開示制度及びその背景|金融庁

しかし、AIや機械では代替できないものが必ずあります。

それは「人の思いに寄り添うこと」や「人と人との信頼関係を築くこと」です。

どんなに業務がデジタル化されても、社員の意欲を引き出しチームを鼓舞したり、お客様や仲間の気持ちに共感して信頼関係を築いたりする役割は、人間にしか担えません

例えば製造業の現場でも、機械では対処しきれないトラブルや業務改善のための創意工夫は、そこで働く人間によって生み出されます。

新しい発想や情熱を持って課題に挑み、周囲を巻き込んで解決に導けるのは、人だからこそできることです。

結局、企業の成長の根幹にあるのは“人”です。

御津電子でも「人が育ち、企業が成長する」そのサイクルを何より大切にしています。

社員の成長なくして企業の発展はあり得ず、この連鎖を軽視する会社はやがて停滞し、淘汰されていくでしょう。

社員を単なるコストではなく未来への投資と捉え、人を大切にすることこそが企業存続の鍵なのです。

人を大切にしない企業の代表的な例

お悩み

では、具体的に「人を大切にしない会社」とはどのようなものなのでしょうか。

私自身の経験も踏まえて、その代表的な特徴を挙げてみます。

社長だけが良い思いをしている会社

社長だけが高級車に乗り、頻繁に飲み歩き美味しいものを食べている一方で、肝心の従業員には成果が還元されず給料も上がらない。

このように経営者だけが利益を享受し社員に報いる姿勢が欠けている会社では、社員の士気は下がり、やがて優秀な人材から辞めていきます。

もちろん、従業員も正当に報われ皆が豊かになっているのであれば、社長が高級車に乗ること自体は問題ありません。

問題は「社長だけ」が良い思いをしている状態です。

家族を大切にしない会社

給休暇の取得を渋ったり、家庭の事情に理解を示さなかったりして、従業員の家族や私生活を軽視する会社です。

従業員は常に家族に支えられて働いているものです。

その大切な家族を犠牲にするような働き方を強いられれば、社員のモチベーションは低下し、会社への愛着も失われてしまいます。

結果として人材の流出や生産性の低下を招き、企業にとって大きな損失となるでしょう。

働く人の思いに共感しない会社

現場の声を無視し、経営者が現場に顔を出さないような会社です。

社員と同じ目線に立って物事を考えない企業では、人の力を引き出すことができません。

現場発のアイデアを取り入れず一方的なトップダウン経営を続けていては、社員の創意工夫も生まれず組織は停滞してしまいます。

また、現場を知らない経営者が現実離れした目標を一方的に押し付ければ、第一線で働く社員は自分たちが大切にされていないと感じ、士気はますます下がってしまいます。

以上のような会社には共通して「人へのリスペクトの欠如」が見られます。

当然ながら、こうした企業では優秀な人材が定着せず、持続的な成長も期待できません。

たとえ一時的に利益を上げられたとしても、社員を大切にしない歪みはやがて組織全体の停滞や衰退という形で表れてくるでしょう。

逆に言えば、人を大切にする企業こそが人材の力を最大限に引き出し、生き残っていけるのです。

御津電子が取り組む人的資本経営

御津電子では経営陣が現場の声を積極的に聴く「KSKサイクル(傾聴・支援・改善)」を社内に根付かせ、トップダウンからボトムアップへの大きな転換を図っています。

この「KSKサイクル」とは、経営陣が現場の声に耳を傾け(傾聴)、社員に必要なバックアップを行い(支援)、共に職場の課題解決に取り組む(改善)というプロセスを繰り返す当社独自の取り組みです。

実際、例えば勤怠管理にITツールを導入して現場の事務負担を減らしたり、現場リーダーに権限移譲して責任と裁量を持ってもらったりと、従業員が働きやすく成長しやすい環境づくりを次々と進めることができました。

また、社員が安心して働ける職場環境の整備にも力を入れています。

例えば、男性社員全員が育児休業を取得できる制度を設け、実際に取得率100%を達成しました。

社員が家庭を大切にしながら働けるよう、有給休暇の取得奨励やフレックスタイム制度の導入など、ワークライフバランス向上の取り組みも積極的に進めています。

「仕事第一ではなく、家族第一」——これが私たちの基本的な考え方です。

こうした取り組みの結果、社員のモチベーションは大きく向上し、工場全体の売上も上向き人材応募も飛躍的に増加しました。

かつて苦境にあった工場も、今では高い収益力を誇るまでに改善しています。

すべての始まりは、経営者自身が従業員の可能性を信じ、その声に耳を傾けたことでした。

↓詳細はこちら↓

事例でわかる人的資本経営|中小製造業が“人”への投資で成果を出す方法|御津電子

まとめ

AIやDXがどれだけ進歩しようとも、決して代替できないものがあります。

それは「人を大切にする心」です。

最先端の技術を導入しても、社員一人ひとりを思いやり、その成長を支援するという根本的な部分が欠けていては意味がありません。

また、どんな立派な制度や仕組みを整えても、土台に従業員への信頼がなければ決して機能しないと痛感しています。

結局、真に強い組織を作るのは人と人との信頼関係であり、それを築ける企業だけがこれからの時代を生き残り、持続的に成長していくはずです。

昔から「会社は人なり」とも言われますが、まさに人こそが企業にとって最大の財産なのです。

逆に、人を大切にする風土があれば、社員は自発的に創意工夫を凝らし会社をより良く変革していく原動力となってくれるでしょう。

人的資本経営とは、一言で言えば「人を大切にする経営」です。

そしてそれを本気で実践できる企業こそが、未来を切り拓いていけると信じています。

御津電子も、人の力を最大限に活かすことで日本の製造業の未来を切り開いていく所存です。

これからも社員とその家族が幸せに働ける環境を整え、全員が誇りを持てる会社を目指して歩み続けることをここにお約束します。

人的資本経営を通じて培った「人を大切にする心」を武器に、社員と会社、そして社会全体の明るい未来に貢献していきたいと考えています。

なお、当社の取り組みが少しでも皆さまの参考になれば幸いです。

人を大切にする経営の輪が広がり、より良い社会につながっていくことを心から願っています。