ベトナム人経営者が学ぶ営業DX!工場訪問から見えた世界共通の経営課題と解決策


先日、ベトナムの経営者約25名が御津電子牛窓工場を訪れました。
彼らの訪問目的は 「営業マンを置かずに、ホームページを活用して新規顧客を獲得する仕組み」、所謂「営業DX」 を学ぶためでしたが、議論は徐々に経営のリアルな悩みへと深化。

「どうやって時間を作るのか?」

「権限移譲はどうする?」

同じ経営者として、彼らの悩みには共感する部分が多くありました。

この記事では、ベトナムの経営者たちが抱える経営課題と具体的な解決策を整理しながら、営業DXの実践方法について考察します。

営業DXとは

営業DXとは、営業活動をデジタル化し効率を向上させることです。

ベトナムでもデジタル化は急速に進んでおり、どの業界でも活かせるスキルとして営業DXへの関心は高まっています。

当社では、営業マンを配置せずに、ホームページを活用して新規顧客を獲得しています。

弊社が実際に取り組んでいる営業DXの例を4つ紹介します。

検索エンジン最適化(SEO対策)

検索エンジン最適化(SEO対策)とは、Googleなどの検索エンジンで自社のWebサイトやページが上位に表示されるように工夫・改善を行うことです。

検索エンジン最適化(SEO対策)を行うことで、自然検索(オーガニック検索)で上位に表示され、多くの人にサイトを見てもらうことができます。

また、検索エンジンからの流入が増え、アクセス数を増加させることができれば、売上や問い合わせなどにつながる可能性が高まります。

うまくいけば、広告を出さずに安定した集客が可能になるのです。

↓詳しくはこちら↓

デザインにはこだわるな。製造業のホームページで最も重要な事は、アクセス数を伸ばす事|御津電子

もはや営業マンはいらない。製造業におけるホームページアクセス向上のseo対策の具体的手法|御津電子

チャットボットによる初期対応の自動化

問い合わせフォームなどにチャットボットを導入し、初期対応を自動化することも、営業DXへの取り組みの1つです。

単純な質問(よくある質問など)はボットで完結させることで、問い合わせ対応の工数を削減させることができます。

また、問い合わせに24時間365日自動で対応することで、見込み客の逃し(離脱を防止)にも期待できるでしょう。

CRMを活用した顧客フォローの自動化

CRM(Customer Relationship Management)とは顧客関係管理のことで、顧客情報を一元管理し、「誰に・いつ・何を」提供するかを最適化する仕組みです。

CRMと自動化ツール(MAツールや営業支援ツール)を組み合わせることで、以下のようなフォロー業務を「人手を使わずに」実行できるようになります。

・メール・LINE・SMSの自動配信:お問い合わせから○日後にサンクスメールを送付する など

・ステータスに応じたフォロー:「商談中」で1週間動きがない顧客には営業にタスク通知 など

・スコアリングによるアプローチ自動化:開封率・サイト閲覧などから「ホットな見込み客」を自動抽出 など

 

従来の「営業=人が動く」という概念から「営業=仕組みを作る」という発想の転換が大切です。

人手不足が深刻化する現代において、ビジネスの持続可能性を高める戦略が重要になってきます。

ベトナムの経営者たちのリアルな悩み

ベトナムからの訪問者たちとディスカッションを進める中で、彼らが抱える悩みは日本を含む世界中の経営者に共通するものであると感じました。

忙しすぎて、WEBマーケティングをやる時間がない

「マーケティングをやるべきだとは思っているが、時間がない。」という声は、多くの経営者から聞かれるものです。

経営者は日々の業務に追われ、新しいことを始める余裕がなかなか見つけられません。

特に中小企業においては、経営者自身が現場業務を兼務することも少なくないでしょう。

権限を渡せる人がいない

「自分がやらないと回らない」「社員に任せるのが怖い」という声も上がりました。

特にベトナムでは 「人に任せる文化」がまだ根付いておらず、経営者が多くの業務を抱え込む傾向にあります。

日本でも中小企業において同様の課題を抱えていることが多いですが、文化的背景によってその深刻さには差があるようです。

工場にマーケティングを任せられる人がいない

工場の社員は製造のプロだけど、営業はできない」という悩みも、製造業に共通する課題です。

技術者と営業担当者では求められるスキルが異なるため、工場内でマーケティング人材を育成することの難しさが議論されました。

また、ベトナムの「2030年を見据えた2025年までの国家DXプログラムの導入」では製造分野も重要視されており、「DXに対応する高度人材の不足」が課題の1つとして挙げられています。

引用:ベトナム分野別DX市場のビジネス機会 政府のDX関連政策|JETRO

 

これらの課題を前に、ベトナムの経営者たちは真剣な眼差しで解決策を求めており、自国の企業を成長させたいという強い意志が感じられました。

具体的な解決策—営業DXを実現する仕組みづくり

これらの課題に対する解決策として、 「営業のプロを育てる」のではなく、「仕組みで補う」ことが重要であると共有しました。

時間がない → 仕組み化する

マーケティング活動を「特別なこと」ではなく「業務の一部」として組み込むことがポイントです。

• ブログやSNS更新のルールを決め、習慣化する

•問い合わせ対応などの一部の業務を、AIチャットボットで自動化する

• マーケティング活動の時間枠を週間スケジュールに組み込む

「考える時間」を減らし、ルーティン化することで、忙しい経営者でも継続できるマーケティング活動が可能になります。

例えば、毎週月曜の午前中にブログ記事を書く、といった習慣を作ることから始められます。

権限を渡せる人がいない → 最初は小さく任せる

全てを一気に委任するのではなく、まず小さな業務から徐々に任せていくアプローチが有効です。

• 問い合わせ対応の一部を担当者に任せてみる

• SNSの投稿だけを特定の社員に任せてみる

• 成功体験を積み重ねて、徐々に委任範囲を広げる

また、社内に適任者がいない場合は、外部の専門家を活用することも選択肢の一つです。

マーケティング専門のフリーランスなどの力を借りることで、内部リソースの不足を補うことができます。

工場にマーケティングを任せられる人がいない → AIの活用

工場にマーケティングのプロがいなくても、AIやオートメーションを活用することで対応可能になる事があります。

•AIチャットボットによる問い合わせ対応の自動化

•Google広告などを活用した自動的なリード獲得

•CRM(顧客管理システム)による営業フォローアップの効率化

「人に任せられないなら、AIに任せる」と発想を転換させ、技術を活用していくことによって、人材育成のハードルを下げることができます。

研修から得た気づき:文化の違いと共通解

今回の研修を通じて、日本とベトナムの経営環境に違いはあるものの、根本的な課題は共通していることが分かりました。

日本では 「適切な人に権限を渡すこと」 が重要視されますが、ベトナムでは「そもそも任せる文化がない」 という現実があります。

このような環境で営業DXを進めるには、人材育成と並行して、AIやオートメーションの活用が特に有効です。

また、彼らは単に技術を学ぶだけでなく、自国の経済発展に貢献したいという強い意志を持っていることも伝わってきました。

特に印象的だったのは「なぜこれをするのか?」という本質を問う姿勢です。

彼らは単に技術を学ぶだけでなく、その背景にある経営課題を理解しようとしていました。

「将来の営業はどうあるべきか?」という質問も印象的でした。

これからの営業は、人対人の関係構築だけでなく、デジタルを活用することが必須となるでしょう。

AIやデータ分析を駆使し、よりパーソナライズされた営業が求められる時代に、彼らは自らの未来を見据えているように感じられました。

デジタルスキルを身につけて帰国した彼らが、ベトナムのビジネス環境にどのような変革をもたらすのか、その可能性に期待が膨らみます。

まとめ:経営者の悩みは世界共通

今回の研修を通じて、日本とベトナムの経営者が直面する課題は意外と似ていると感じました。

〇営業DXとは

・営業活動をデジタル化し効率を向上させること

・SEO対策やAIチャットボットの活用、オンライン商談の標準化など

〇ベトナム人経営者の悩みと解決策

・時間がない→仕組み化する

・人に任せられない→最初は小さく試してみる

・任せられる人がいない→AIの活用

〇研修を通して得た気づき

・日本とベトナムの経営環境に違いはあるものの、根本的な課題は共通している

・日本では適切な人に権限を渡すことが重要視されるが、ベトナムでは任せる文化がない

・これからの営業は、人対人の関係構築だけでなく、デジタルを活用することが必須となる

国や文化が違っても、 「限られたリソースをどう活用するか?」 という本質は変わりません。
できない理由を探すより「できる方法」を見つけることが、経営者にとって一番大事なのだと改めて感じました。

また、営業DXは「営業のプロを育てる」のではなく、「仕組みを作る」ことが本質です。
私自身、時間がない中でマーケティングをどう回すか悩みながら試行錯誤してきました。

今回の研修を通じて、「AIやオートメーションを活用し、人に頼らずに営業を仕組み化する方法」に改めて大きな可能性を感じました。

これからも、実践できる営業DXの方法を発信していきます!
次回の記事もお楽しみに!